日本遺産のまち津和野 ~津和野町日本遺産センター

新しいカタチのまちづくりを提案!
地域に埋もれた宝に磨きを掛ける、新観光拠点「津和野町日本遺産センター」

 疲弊する全国の地方活性化を目的に、国を挙げた多彩な地域創生や観光振興事業が推進されています。文化庁でも地域の文化財や歴史的建造物などを観光資源として活用する新しい取り組みおして、平成27年に日本遺産認定制度をスタートしました。
 津和野町では「津和野今昔〜百景図を歩く〜」をテーマとして日本遺産の第一期募集に応募し、全国17地区の一つとして見事認定されました。日本遺産「津和野今昔〜百景図を歩く〜」の中心的コンテンツは「津和野百景図」です。町では、その百枚の絵画や、その絵画にまつわる映像、観光パネルなどの展示を行い、さらにそれらの絵画から発想される津和野の新しい街歩き観光を提案する拠点として全国に先駆けて日本遺産センターを開設しました。

津和野百景で、幕末の津和野にタイムスリップ

 日本遺産センターに展示される百景図とは、江戸末期の津和野藩主・亀井茲監の業績をまとめた「以曽志乃屋文庫」とともに納められた文書の一つで、藩主のそばに仕えた栗本里治が約4年の歳月をかけて藩内をめぐり描いた絵です。内容はその当時に津和野で行われていた行事や風俗、食べていた料理や食材、季節に行われていた祭り、庶民の暮らしや町を歩く人達の様子、商売の様子などです。
 センターには、百景図全ての複製が展示されており、常駐するコンシェルジュ(案内人)が、描かれている当時の暮らしなどを今日の津和野の暮らしや風景を織り交ぜながら丁寧に解説してくれます。それらの絵を見てイメージを膨らませている間に、私たちは幕末の津和野町にタイムスリップしたような印象を覚えます。
 津和野町はこの百景図が日本遺産に認定されたことで、従来とは違った視点による津和野町の観光情報の発信や観光客誘致方法に着眼したのです。

津和野百景との出会いを求めてまち歩き

 センターでは「日本遺産の活用」という新たな観光の取り組みをはじめました。一般的な展示施設では「展示する・公開する」が主目的となっています。もちろん貴重な資料や文化財ですから、それだけでも価値ある内容です。しかし、それだけでは観光客の感動も限りが有ります。そこでセンターでは、展示されている百枚の絵画を、横軸に「春」「夏」「秋」「冬」の季節の軸を設定し、縦軸に「風物」や「行事」「料理」「食材」「暮らし」「街の風景」など内容のカテゴリーを設定し、そこに出来た複数の枠に百景図をはめ込みました。例えば「春」✕「祭り」の枠に配置された幾つかの絵画、「秋」✕「料理」の枠に配置された幾つかの絵画、それらの絵画で構成される津和野ならでは新しい観光テーマが生まれます。「見て回るだけ」の従来の観光ではない、津和野ならではの新しい観光の魅力が無限に出来上がっていくのです。歴史を学んだり、祭りを体験したり、旬の食材を使った津和野の料理を楽しんだり。日本遺産センターでは、これらのテーマをもとに新しいスタイルの津和野の街歩きイベントを開催して従来にない津和野ファンの掘り起こしを行っているのです。まさに静的な文化財や歴史的資料・遺産歴史を動的な観光資源として変化させています。それも、大きな予算や時間を掛ける観光開発ではなく、普段の日常の中で津和野の人たちには当たり前のような存在である風俗や祭り・食材や風景ばかりですが、観光という視点で光り輝く宝に磨かれていっています。

まち歩きイベントの画像
上・右下:津和野百景図をヒントに、津和野のまちをめぐるまち歩きイベント。かつての町の姿と今の姿を、百景図を用いることで簡単に比較でき、参加者に多くの発見を与えることができる。  左下:センターでは百景図の作者である栗本里治が描いた「城下絵図」もあり、往時の姿を俯瞰でも確認できる。詳細に記された説明文も、音声ガイダンスで聞くことができる。

何度も訪れたくなる、津和野にしかない魅力を作る

 1970年代に展開されたディスカバー・ジャパンという国鉄(現JR)のキャンペーンによって、遠くは関東方面からも100万人を超える若い女性たちがやってきた観光地津和野です。養老館や太鼓谷稲成、乙女峠、津和野城跡など大変な賑わいを見せました。当時は「見せる観光」の時代でした。リピート客を増やす手段や方法も十分無く、時の流れとともに津和野観光には新鮮さや珍しさが減少していきました。結果として観光客数が減少して行き、観光関連業者のパワーも小さくならざるを得ず、撤退する店舗も多発し、新しい光が見えにくい状況となっていました。
 ところが今回の日本遺産センターの試みは、津和野町観光にとって今までにない可能性を生み出しています。大きなインフラ整備などに頼ること無く、地域の人たちには当たり前のような「風景」や「祭り」、食卓を飾る「食材」を活用して、季節や時間の制限をうけず、観光客を誘致できる多彩なストーリを開発することができるのです。それらのストーリの背景に一貫して流れるものが津和野百景なのです。それらの企画に参加し体験した観光客は、新しい津和野の魅力に触れ、次はあの季節のあの祭りを、あの食事をあの場所で・・・と、二度、三度と再訪のイメージも増します。地域の宝を磨き輝かせ観光客を招き入れる、新しい観光のあり方を示唆するスタイルとなりつつあります。

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